よくビジネスにおいて、またビジネスでだけでなく「聞く力」が大切ですよ、というのはよく言われる。
話すことよりもスピーチすることよりも、相手の話を聞くことが大切ですよと、よく聞かれると思う。
あなたはどれだけ聞く力があるでしょうか?
こう聞くと結構な確率で
- 自分は自信がある
- 全然やれている
という方は多いんじゃないでしょうか。
正直、僕もそのように思っていました。
ですが、実際は違うようです。
次のようなエピソードをご覧頂きましょう。
五十代か六十代の足の悪いおじさんがいました。
髭もじゃで帽子をかぶっていて、白髪でなんだか怖そうなイメージです。
そんな方が駅員さんに怒鳴り散らしていました。
「ここの方向に行きたいんだが、どこに行けばいい?」と。
今、丁寧に言いましたが、もっときつい言い方です。
「どこじゃ、コラ!?」
みたいな。
それで熟練の駅員さんがしっかりとその方向について、的確にどちらのどのホームに行けばいいのか、何番ホームに行けばいいのかをしっかりと教えていました。
しかし、そのおじさんは全く聞く耳持たず、
「意味がわからない」
「もう一度言え」
と何度も聞きます。
老害かな?
まあ、今回はそういう話じゃないです。
実はそのおじさん、駅員さんが喋っている「途中で」わからん、わからんと言って、「一方的に」喋っていてます。
傍から見れば、まともに駅員さんの話を聞いていないのが丸わかりなのですね。
僕はそんなんじゃ、わからないのは当たり前だ、ということに気づいたんですね。
そういうやり取りを五・六回繰り返しているのを目の当たりにして、少し笑ってしまったのですが。
当の本人たちは大真面目に、本当に理解しあえてない感じがしました。
このエピソードは面白エピソードみたいに言えますが、実際、私たちは同じようなことをしているんじゃないかと思えてしまったんですね。
相手が話してる時に話を遮ってはいけない、というのはよく傾聴力では言われます。
しかし、相手が一生懸命に話してる時に私達は本当に聴いているのでしょうか。
何か別のことを考えてませんか?
いや相手のことを、相手の結論を「先読み」して、そのことにばかり気を取られて考えてしまってませんか?
例えば、部下があなたに悩み相談します。
「実は最近、調子が悪くて…」
上司のあなたは早々に結論をつけます。
五月病だと。
だから新人はメンタルが弱くて嫌なんだ、と。
待ってください。
部下は本当にそのような症状なんでしょうか?
全部聞いたでしょうか?
あなたは全部を聞かずに、勝手に早々に決断を下して、部下はどのようなタイプなのかというのに、審判を下すような形で決めつけ、部下の話を聞いてないじゃないですか?
そうです。
日常では当たり前のことのように、このようなことが起きます。
実は始めの部分しかほとんど聞いておらず、真意を理解してないんですね、相手のことを。
これは実に難しい話で、本当の傾聴力というのは相手の勝手な判断をせず、しっかりと聞いて、頭を空っぽにして、決断を下さない。
いくら自分が優位な立場だからと言って、色々なものを知っているとして、勝手な決断を下してはいけないのです。
高圧的なお医者さんでもいますね。
話を全部聞かずに遮って、すぐに診察を終わらせてしまう人が。
それもまた間違いではないですが、本当の意味でそれは診察ではない。
決めつけでしかないんです。
もっと酷いことを言えば、傲慢でしかない。
社会的にレイヤーの高い人、経済的なレイヤーと言う意味ですが、高い人は総じて聞き上手な人が多いです。
また社長だけでなく、社内で重要なポジションにいる人は基本的に傾聴力が高いことが多いです。
営業でトップ成績を出してる人も聴き方が上手いと言いますね。
お客さんの話を遮ることはしないのです。
自分の売る商品のことばかり話さない。
ちゃんとお客さんの悩みを聞く。
そして勝手な決断をしない。
勝手な押しつけはしない。
改めて問います。
あなたはちゃんと話を聞けていますか?
正直、私もできてるとは思いません。
大切なこととして、自己否定があります。
ただ、ここで間違ってはいけないのはネガティブになるというイメージではなく、自我を否定するというニュアンスです。
要はわがままを通さない、というか、自分勝手な判断をしない。
- 自分はできる
- 自分は何でも知っている
- 自分は相手よりも上である
というような傲慢な気持ちを持たないということが大切です。
ある意味、社会的に成功してる人はネガティブでもあるんです。
心配症とも言えますね。
自分が相手よりも優れてる、なんて言う人はごくごく僅かで、(いるにはいます…)、自分は言うてゴミであるという、自分を小さく見積もっている人の方が、成功しやすいイメージがあります。
男女の関係においても当てはまります。
女性は話を聞いてほしいのに、男性は一方的に解決策を提示し、話を終了させる。
違うんですね。
ただ、女性は承認が欲しいがために、話を聞いてほしいのに。
もちろん女性の方が話が上手い・聞き方が上手いだといういう風にも見えますが。
女性同士で話してるのを聞くと、一方が一方で好き勝手なことを言って、全く話がちぐはぐ、なんてことも結構あります。
話を聞いていないのですね、お互いに。
喋りたいことを喋って、お互いが満足している。
ある意味、幸せな関係かもしれません。
以上から、聴く力の本当の意味についてお伝えしました。
大切なのは自分への問いかけ。
自分は本当に相手のことを聞けているだろうか、という問いかけです。
大切にしてください。
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